フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 馬車の外を興味津々に見る横顔を眺めていると、少し照れたように「旦那様」と呼ばれた。
 ついついリリアナばかり見ていたから、恥ずかしい思いをさせてしまったのだろうか。

「どうしたんだい。なにか気になるものでもあったか?」
「えっと、その……」

 肩を寄せ、リリアナが眺めていた馬車の外を眺めてみた。城から少し遠ざかり、丘を下り終えたところだ。人の往来も増え、大きな通りが見えてきた。

「……旦那様、あの通りは人が多いですね」
「ああ、この辺りは職人通りだな」

 体を寄せたことで、リリアナの肩が胸に当たった。それを気にしたのか、頬をほんのり染めた彼女は少し躊躇う様子を見せた。
 愛らしすぎて抱き締めたくなるが、ここは年上として矜持(きょうじ)を保つべきか。

 そっと体を離して座り直すと、リリアナはほっと胸を撫で下ろした。

「あの、職人通りとは?」
「鍛冶職人に靴職人、革職人、細工師……そういった職業の工房が連なっている。冒険者が多く出入りする場所だ」
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