フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「じゃあ、旦那様って呼んでくれるのかな?」
「……わかりました、旦那様」
「ふふっ、いつか私をエドと呼んでくれよ」
小さな手を握りしめると、その頬がさらに赤くなった。
魔族は乱暴だとか性悪だ等といわれるが、そんな影は一つもない。それどころか、高潔で美しく愛らしい。それに、手を握ったくらいで恥ずかしがる純情さがある。
「薔薇か……」
棘で身を固めた薔薇は、とても弱い花だ。甘い香りに引き寄せられた虫に食べられないよう、私が守らなければなるまい。
「旦那様、なにか仰いましたか?」
私の呟きに小首を傾げたリリアナに「なんでもないよ」といい、その小さな手を引いて広い廊下を並んで歩いた。
それから、城の裏手に用意したお忍び用の馬車に乗り、街へと出た。連れてきたリリアナ付きの侍女デイジーと護衛騎士一人には、少し離れたところからついてきてもらう手筈になっている。
実のところ、リリアナに話していないが、街中にも護衛騎士たちを配置している。
何事も起きないだろうが、もしものことがあってはならないからな。
「……わかりました、旦那様」
「ふふっ、いつか私をエドと呼んでくれよ」
小さな手を握りしめると、その頬がさらに赤くなった。
魔族は乱暴だとか性悪だ等といわれるが、そんな影は一つもない。それどころか、高潔で美しく愛らしい。それに、手を握ったくらいで恥ずかしがる純情さがある。
「薔薇か……」
棘で身を固めた薔薇は、とても弱い花だ。甘い香りに引き寄せられた虫に食べられないよう、私が守らなければなるまい。
「旦那様、なにか仰いましたか?」
私の呟きに小首を傾げたリリアナに「なんでもないよ」といい、その小さな手を引いて広い廊下を並んで歩いた。
それから、城の裏手に用意したお忍び用の馬車に乗り、街へと出た。連れてきたリリアナ付きの侍女デイジーと護衛騎士一人には、少し離れたところからついてきてもらう手筈になっている。
実のところ、リリアナに話していないが、街中にも護衛騎士たちを配置している。
何事も起きないだろうが、もしものことがあってはならないからな。