フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「ああ。銀細工の店だな」
「銀細工?」
「魔術師、精霊使いの装飾品を作る職人の店だ」
「では、先程の娘も魔術師だったのでしょうか?」
「どうだろうか。アクセサリーも作っているから、そうとは限らないよ」

 遠ざかる職人通りを振り返るように見たリリアナの瞳は、好奇心にキラキラと輝いているようだった。

「もうすぐ、中央広場だな」
「広場には何があるのですか?」
「建国の記念碑がある。祭りを行うこともあるぞ」
「……祭り?」
「春の花祭り、夏の鎮魂祭、秋の収穫祭、冬の生誕祭」

 指折り数えると、リリアナの瞳が大きく見開かれる。デスモンドは争いが多いから、祭りを催すこともほとんどないだろう。

「楽しいぞ」
「わ、私も、お祭りを楽しんでいいのですか?」
「当然だ! 私が案内しよう」

 賑やかな広場を進みながら約束すれば、リリアナは無邪気な笑顔を見せてくれた。
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