フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 頬を伝った涙が、ドレスの胸元を濡らした。

 震えていると、エドワード様の手が私の肩にそっと触れた。抱き寄せられ、ハンカチで目元を拭われる。

「大丈夫だ、リリアナ。君は私の薔薇だ」
「……旦那様」
「少し、落ち着けるところへ行こうか」

 優しい若葉色の瞳に見つめられ、さらに胸が締め付けられた。

 こんなみっともない姿を見せて、エドワード様は幻滅しただろうか。息抜きにと連れてこられた街の視察なのに、私は彼の妻として振る舞えていないんじゃないか。

 やっぱり、フェルナンドの薔薇として失格だわ。

 後悔に潰されそうになりながら、黄色いドレスのスカートを握りしめた。
 このドレス……エリザ様だったらもっと似合ったのかもしれない。涙で汚すなんてことも、なかったのかも。

 ここにはいない影に、小さな嫉妬心が芽生えた。
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