フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 案内された先は、ガラスの向こうに美しい花壇を楽しめる席だった。二人掛けの長椅子にエドワード様と並んで座る。

 横を見ると、少し離れた席にデイジーと護衛騎士の方も座ったところだった。デイジーは、こちらを心配そうにちらちらと見ている。

「本日はお越しくださり、ありがとうございます」
「今日のケーキはなんだい?」
「ぼっちゃまのお好きなチーズケーキですわ」
「それはいい。リリアナ、ここのチーズケーキは絶品だ。それでいいかい?」

 訊ねられ、私はただ頷いた。
 なにかを食べる気分ではなかったけど、せっかくのご厚意を無碍にするのも申し訳ないし。

「一緒に、ハーブティーを頼む」
「かしこまりました。特性ブレンドをお持ちしましょう」

 にこりと微笑んだダリアさんが席を離れると、無意識にほっと吐息がこぼれた。
 静かな店内に、私たち以外の客はいない。

「少しは落ち着いたかな?」
「……はい。お恥ずかしい姿を見せて、申し訳ありません」
「リリアナ……話してくれないか? 私は、君の瞳を曇らせる理由を知りたい」

 大きな手が私の頬に触れ、涙の痕を擦った。
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