フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 優しく微笑む姿に胸が苦しくなり、自分がこんなに弱かったのかと気付かされる。

 思いを打ち明けたら、エドワード様に嫌われてしまわないだろうか。

 私たちの結婚は、アルヴェリオン国王の意思。魔族の令嬢を望んだということは、強さを求めたともいえる。その強さを、私が持っていないと知ったら……

 どう伝えたらいいかわからず、震える指を握りしめた。

「私は君に笑っていてほしいんだ」
「……エリザ様のように?」

 無意識だった。
 言葉にしてしまったことにハッとし、エドワード様を振り返る。そこには、少し驚いた顔があった。

「あ、あの、申し訳──」
「エリザは関係ないよ」

 膝の上で握りしめていた拳を、エドワード様の温かい手が覆う。

「いや、全く関係ないわけではないか……私の話を聞いてくれるか?」

 もしかしたら、それを知ったら惨めな思いをするかもしれない。だけど、知らないままではいけないとも思う。

 それに、フェルナンドの薔薇は、どんなに厳しい環境でも咲かなければならないのだから。

 震える声で「はい」と答えれば、エドワード様は私の手を両手で包み込んだ。
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