フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 なんて大きな愛だろうか。
 エリザ様を国にいる愛する人の元へ帰してあげたいだなんて。私は、そこまで思われる妃になれるのかしら。エリザ様に代わり、これからも強くあれるのか……

「……エリザ様を、愛されていたのですね?」

 声が震えた。
 指先に力が入ると、エドワード様がそっと撫でてくれる。

「違うよ。愛していなかったから、彼女が哀れで仕方なかったんだ……」
「愛してなかった……どうして?」
「彼女は弱かった。悪魔の巣くう王城で生き抜くには、弱すぎた」
「……悪魔?」

 不穏な言葉に、背筋が震えた。
 エリザ様はアルヴェリオン王城でなにを思い、すごしていたのだろう。優しいエドワード様に悲しい顔をさせてまで、その悪魔から逃げ、国の想い人と添い遂げようと思ったのかしら。

 私なら、悪魔とでも戦う。エドワード様にこんな悲しい顔をさせたりしない。

 エドワード様が私の頬をそっと撫でた。
 私の心を読んだのかしら。その表情から悲しみが消え、慈しむような優しいものへと変わっていった。
< 57 / 275 >

この作品をシェア

pagetop