フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 視線を移した窓の向こう、闇夜にリリアナが傷つけられ、冷たい言葉を浴びせられる姿が浮かぶ。
 そんなことはさせない。彼女の瞳を曇らせてなるものか。

 今度は髪飾りを探しに行こうと約束したんだ。その約束を果たす頃には、悪魔を引きずり出して罪を暴きたいものだが──ぼんやり考えていると、ブローチが輝いた。

 さっそく、リリアナが使ったのだろう。それを手に取り指でそっと触れると、柔らかな光が浮かびあがった。

「ここを押すのよね?」と愛らしい声が聞こえてきたと思ったら、侍女の顔が映りこんだ。

「リリアナ様、そっちは記録する時のですよ! 逆です!」
「え? じゃあ、これかしら?」
「それは記録を消すボタンですよ! こっちです」

 賑やかなやり取りが聞こえてきたかと思えば、光が消えた。どうやら、間違って記録したようだ。

 声しか聞こえなかったが、それがかえってリリアナの姿を鮮明に思い起こさせた。
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