フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 リリアナは困惑した時、少し眉を顰める。私と話す時も、一生懸命に話を飲み込もうと考えるのだろう。小さな唇をきゅっと引き結んで悩む表情もまた可愛いものだ。

 きっと、そんな顔をしてブローチの使い方を、デイジーと一緒に復習していたのだろうか。

「本当に、可愛い……」

 馬車の中でブローチを大切に握ったリリアナの顔を思い出した。

 あの時、私の好きなものを見たいといっていた。
 真っすぐ見つめてくるラピスラズリの瞳が、好奇心に輝いていた。その瞳を、その表情を宝石に閉じ込めてしまいたかった。
 
 出来ることならリリアナの全てここに収めたい。
 毅然とした姿や愛らしい微笑みだけではない。憂いや悲しみも、全てだ。

 しかし、彼女の前でブローチを作動させたら、可愛い顔で「なにを撮られているのですか?」と詰め寄られそうだな。泣き顔なんて撮るものなら、今すぐ消してと怒られるかもしれない。

 その表情を想像して、少しおかしくなった。
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