フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「はい。こちらの様子を探る輩はおりましたが、ご命令通り、捕らえず泳がせました」
「そうか。その者たちは、やはり──」
「ガレスにも探らせましたが、おそらく、間違いないかと」

 静かに同意するローレンスは「どういたしましょう」という。

 捕えようと思えば、おそらく出来る。しかし、こちらを探っているやつらは、捨て駒にすぎないだろう。

 ブランデーを一口飲み込み、熱を持った息を静かにはく。

「……まだ、決め手がない。エリザ嬢を手にかけた証拠すら、この五年間見つけ出せていない」

 膝に肘を突いて項垂れると、ローレンスが私を気遣うように「エドワード様」と名を呼んだ。
 ローレンスの眼差しには、静かな覚悟の火が点っている。それは、私が命じたならすぐにでも王妃へ刃を向けるような危うさだ。

 まだ、その時ではない。

「リリアナをあのような目に合わせるわけにはいかない。ローレンス、これからも頼むぞ」
「お任せください、殿下」
「リリアナの侍女もだぞ」
「心得ております。しかし……」
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