フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 言い淀んだローレンスに「なにか問題でもあるか?」と尋ねると、彼は珍しく視線をさまよわせた。いつも歯切れよくものをいう彼が珍しい。なにか問題でもあるのだろうか。

「その、侍女殿は少々行動力があるので」
「行動力?」
「光玉の騒動でも、侍女殿は妃殿下を心配されて飛び出そうとされました。騒ぎを大きくされてはと思い、止めはしましたが……小柄でいながら、なかなか力も強い方で」

 いいながら頬を摩ったローレンスは苦笑を浮かべた。よく見れば、その頬が少し腫れている。

「殴られでもしたのか?」
「いいえ。たまたま手がぶつかっただけです」
「ははっ、そうか……彼女が異国で頼れるのはリリアナだけであろう。あのような騒動が起きれば、咄嗟に体が動くのも仕方あるまい」
「私もそのように考えております」
「とはいえ、この先、邪魔立てされても困るな」

 デイジーにとっては、主であるリリアナの安全が最優先だろう。その安全を脅かす者がいると分かれば、こちらと利害が一致するはずだ。
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