寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「これからは、ずっと一緒に暮らそう」
「うん! ぱぱとままと夏希、みんな仲良し!」

 夏希は高らかにそう宣言をすると、小さな両手を広げて両親に飛びつく。
 そのかわいらしい姿に愛しさを感じると同時に、これでは私の計画が台無しだと恨む気持ちが沸き起こる。

 ――心の中はいだいてはいけない気持ちが渦を巻き、ぐっと唇を噛みしめていなければすべてをぶちまけてしまいそうなほどに荒れ狂っていた。

 どうして、こうなったんだろう。
 そんなふうにどれほど後悔したところで、ずっと欲しがっていた父親を手に入れた夏希の嬉しそうな姿の前ではそんな恨み言など口にできるはずがない。

「もう、ぜったい! いなくなっちゃ駄目だからね!」
「ああ。もちろん」

 こうして私は、突如己の前に現れた片平さんを受け入れ、夫婦として暮らすことになってしまった。
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