サイレント&メロディアス
俺がぽかんとしているように、痴漢男も不意を突かれたのかぽかんとしているし、それを見ていたまわりもぽかんとしている。ぽかん空間だ。
その間に、
さおりさんは傘の「?」マークみたいな柄を、そのさわやか痴漢の喉ぼとけにさっと引っかけ、思いっきり手前に引く。
(!?)
痴漢が苦しんで前のめりになったところで、傘のとがったほうで容赦なく股間を突きさした -
(あ)
痴漢は倒れ、ぼう然としていたまわりが魔法から覚めたように、
「痴漢だ!!」
「お姉さん大丈夫ですか!?」
「通報して!!」
「取り押さえろ!!」
と大騒ぎしはじめる。
その騒ぎに乗じて俺はさおりさんのもとへ向かう。人ごみをかきわけて。
と、
さおりさんも俺を見つけ、ほっとした顔になった。
「大丈夫ですか!?」
俺があわててさおりさんに声をかけると、彼女は恥ずかしそうに済まなそうに小さくこくっとうなずく。
「怪我はないですか? なんて無茶をするんです。あなたは」
俺が矢継ぎ早に質問するのに、さおりさんはうなずいたり小首をかしげたりする。絶対に許さない。この痴漢野郎。この世から抹消してやる。
「さおりさん。
あなた、強いんですね……」
その間に、
さおりさんは傘の「?」マークみたいな柄を、そのさわやか痴漢の喉ぼとけにさっと引っかけ、思いっきり手前に引く。
(!?)
痴漢が苦しんで前のめりになったところで、傘のとがったほうで容赦なく股間を突きさした -
(あ)
痴漢は倒れ、ぼう然としていたまわりが魔法から覚めたように、
「痴漢だ!!」
「お姉さん大丈夫ですか!?」
「通報して!!」
「取り押さえろ!!」
と大騒ぎしはじめる。
その騒ぎに乗じて俺はさおりさんのもとへ向かう。人ごみをかきわけて。
と、
さおりさんも俺を見つけ、ほっとした顔になった。
「大丈夫ですか!?」
俺があわててさおりさんに声をかけると、彼女は恥ずかしそうに済まなそうに小さくこくっとうなずく。
「怪我はないですか? なんて無茶をするんです。あなたは」
俺が矢継ぎ早に質問するのに、さおりさんはうなずいたり小首をかしげたりする。絶対に許さない。この痴漢野郎。この世から抹消してやる。
「さおりさん。
あなた、強いんですね……」