サイレント&メロディアス
さおりさんの後ろで不審な動きをしている男がいる。30代半ばくらいだろうか。さわやかそうな顔をして、
うちの奥さんに何か狼藉を働いていないか、貴様。
(さおりさんは可愛いから、まわりの人間が全員不審者に見える)
あ、あっちの男もあやしくないか。短い金髪の若者。さおりさんに指1本でも触れたら二度とこの世にはいられなくしてやる。
いや、あの女も不審者だ。さおりさんに触れるな。うちの奥さんが汚れる。あ、あっちも、
って、
(あのさわやか野郎、マジでさおりさんに触ってる!!)
さわやか顔でハイブランドのスーツを着た男が、さおりさんの腰のあたりを探っている。あれは痴漢!!
(さおりさん!! くそっ!! 人が多くて近づけない!!)
さおりさんは不愉快そうな困ったような顔をしてきょろきょろしている。まわりは気づかないのか。うちのプリンセスの危機に!!
(さおりさん!! 防犯ベルは!? スマホは!?
くっそ、まず次の駅に通報だ。さおりさん、待ってて!!)
俺はスーツのポケットからスマートフォンを取り出しアプリを起動して次の駅に通報する。「もうすぐそちらに着く**線の中に痴漢がいます。うちの妻が被害者です」と。
顔を上げたらさおりさんはまだ困った顔をしていた。よし、大声出す、
ぞ、
え。
さおりさんは痴漢野郎を振り向いた。ひょっとこみたいな顔をして。
(え)
両手で頬を下げ、とがらせた口を右に曲げ、究極の変顔をしている。
(え、)
うちの奥さんに何か狼藉を働いていないか、貴様。
(さおりさんは可愛いから、まわりの人間が全員不審者に見える)
あ、あっちの男もあやしくないか。短い金髪の若者。さおりさんに指1本でも触れたら二度とこの世にはいられなくしてやる。
いや、あの女も不審者だ。さおりさんに触れるな。うちの奥さんが汚れる。あ、あっちも、
って、
(あのさわやか野郎、マジでさおりさんに触ってる!!)
さわやか顔でハイブランドのスーツを着た男が、さおりさんの腰のあたりを探っている。あれは痴漢!!
(さおりさん!! くそっ!! 人が多くて近づけない!!)
さおりさんは不愉快そうな困ったような顔をしてきょろきょろしている。まわりは気づかないのか。うちのプリンセスの危機に!!
(さおりさん!! 防犯ベルは!? スマホは!?
くっそ、まず次の駅に通報だ。さおりさん、待ってて!!)
俺はスーツのポケットからスマートフォンを取り出しアプリを起動して次の駅に通報する。「もうすぐそちらに着く**線の中に痴漢がいます。うちの妻が被害者です」と。
顔を上げたらさおりさんはまだ困った顔をしていた。よし、大声出す、
ぞ、
え。
さおりさんは痴漢野郎を振り向いた。ひょっとこみたいな顔をして。
(え)
両手で頬を下げ、とがらせた口を右に曲げ、究極の変顔をしている。
(え、)