悪魔的生徒会長が妙に甘いのですが、これはどういうことでしょう??
朱月高校生徒会長




人生がガラリと変わる一番最初のきっかけというのは、案外地味なものである。


わたし、(はら)路留(みちる)にとってのそのきっかけは、二学期初日の放課後。

クラスメイトの男子グループの会話にふと耳を傾けてしまったことだった。



「なあ、もう今日は掃除サボって遊びに行かね?」



楽しかった長期休暇が終わってしまったのは残念だけど、休みの間に会えなかったクラスメイトとの再会は嬉しい。

その男子の声からは、気怠そうな調子を装いながらもそんな気持ちが透けている。


友達のいないわたしには理解できない感覚だ。

勘違いしないでもらいたいのだが、わたしに友達がいないのは、人付き合いが苦手だからとか一人が好きだからとかそういう理由ではない。


それならば何が理由かといえば……


存在感が薄いから。これに尽きる。



友達になるならないの前に、そもそも存在を認知されていない。


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