うちの生徒会長は今日も読めない
こんな歓楽街の片隅にあるボロアパート、子どもなんてほとんどいない。
取り残されている子どもというのは十中八九……
「クソっ」
何かを考える間もなく、体が動いていた。
「おい待てあんた! そのうち消防隊員も来る!」
「うるせぇ。んなもん待ってられっかよ」
火災現場における正しい行動なんてものは知らない。服で口元だけ覆って、そのまま燃えるアパートの中に飛び込んだ。
熱さと煙で視界が霞む中、秋螺は必死に敬人の名前を呼んだ。
落ちてくる火の粉や火に包まれた天井の欠片のようなものがあちこちに当たって、悲鳴を上げたくなるほど痛い。だが構っている暇はない。
……敬人は、秋螺たちの部屋のある階の廊下でうずくまっていた。
「敬人! 大丈夫か!? 早く逃げるぞ!」
「……何で来たんだよ」
敬人は逃げる途中で足を痛めて動けなくなっていたらしい。
秋螺は、信じられないものを見る目を向けてくる敬人を背負い、荒い息をしながら立ち上がる。