悪魔的生徒会長が妙に甘いのですが、これはどういうことでしょう??
くぐもってはっきりとは聞こえないものの、どう考えても穏やかとは言えないやり取り。
無関係にもかかわらず背筋が凍る。
わたしの頭に浮かんだのは、髪を金色に染めてバチバチにピアスを開けた不良が、眼鏡の大人しい系男子(すなわちわたしと同種族)にお金をせびっている図。
金髪不良(仮)は、眼鏡くん(仮)が一生懸命稼いだ雀の涙ほどのバイト代を「おいおいシケてんな」みたいな顔をして容赦なく全額奪い取ってしまう。
しかし恐怖に抗えない眼鏡くん(仮)は、その様子を震えながらただ眺めることしかできないのである。
……妄想終了。
でもそこまで大きく外れてはいないのではないだろうか、なんて、わたしは壁に耳をぴったりくっつけながら思う。
わたしが妄想を繰り広げている間も相変わらず片方は高圧的な態度で乱暴な言葉を吐き、もう片方はひたすらに謝罪している。
わたしは緊張で鼓動がドッドッと速まっていくのを感じながら考えた。
ここで隣の部屋に突入して哀れな眼鏡くん(仮)を救出する……なんてことは小市民たるわたしにできるわけがない。
返り討ちに遭って終わりだ。