悪魔的生徒会長が妙に甘いのですが……。
本人にとっては何気ない言葉なのだろうけど、わたしにとっては冷や汗ものだった。
脳裏に過ぎっているのは、例の生徒会企画。
もしあれが見られたら、生徒会に入っていることが間違いなくバレる。
あれがもしただの演劇だったら、その時間を避けてもらうよう頼んで調整すれば良い。
だけど、あの宣伝シンデレラはそうじゃない。
各種模擬店のコマーシャルを兼ねるあの劇は、録画され、メインステージ横に設置されるモニターで文化祭が開催されている間はずっと流され続ける。
果たして、絶対にそれを見られないように上手く誘導しながら回ることができるだろうか。
「ね、いいでしょ?」
「……うん」
だけど大好きなお姉の希望を無下にするなんてこと、できるはずもなかった。
反射的にうなずいてからどっと後悔が押し寄せる。
何か……何か策を考えねば……。
話題が今日の夕飯のメニューのことに移った車内で、わたしは一人頭を抱えた。
──思わぬ形でそんな心配は無用になるなんてこと、このときは想像していなかった。