恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
氷上さんが帰って私はようやくほっと息を吐き出した。
「はぁ……疲れた……」
机に突っ伏しながら、先程のメモを見返す。
さすが編集長というか、なんというか。私とは違った着眼点から意見を言ってくれて、私が気付けなかったことを指摘してくれる。
十年も物書きをやっているというのに情けないけれど、やっぱり編集さんは偉大だ。
「氷上さん……、思ったよりも話しやすかったな……」
男性に免疫もなく、恋愛経験のない私なんかにも気さくに優しく接してくれる。
「男性は可愛い子にしか優しくしないものだと思ってた……」
相変わらず酷い偏見だが、普通の人として接してくれたのが思ったよりも嬉しかったのだ。
「まぁ、仕事だからね。そりゃそうなのだけども」
でも、少し心が軽くなったのも事実だ。
恵さんの後任が男性というだけで憂鬱だったけれど、氷上さんとなら無理なく次回作を進めて行けそうだ。
「よし!忘れちゃう前にプロット修正して、執筆しちゃおう!」
私は足取り軽く仕事部屋へと戻った。