恋愛未経験な恋愛小説家の私を、何故か担当さんが溺愛してきます!?
なにかあれば連絡してください、って言ってくれていたし、恵さんとも些細なことで相談していた。担当さんなのだし、気軽に連絡してみるのもありかも。
「氷上さん、絶対モテるだろうし、デートのレパートリー多そう!」
氷上さんはイケメンだし対応もスマートだし、きっと数多くの女性を虜にしてきたはずだ。訊くだけ訊いてみてもいいかもしれない。
「…………。と、とりあえず会うのは難しいから、メールでちょちょいっと訊いてみようかなっ……」
氷上さんがいかにいい人でとても優秀な編集さんだったとしても、男性が苦手なことに変わりはないし、あのキラキラオーラに耐えられるわけでもない。
デートの描写にすごく困っていて、とメールでお伝えしたところ、氷上さんからすぐに返信があった。
『今ちょうど琴葉先生のご自宅の近くにいますので、今から伺いますね』
「ん……?今から伺いますね?」
何度もメールを読み返しているうちに、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
インターホンのモニターには、氷上さんが今日も爽やかスマイルを浮かべて立っていた。
「え!?氷上さん!?」
確かにメールには伺う、と書いてあったけれど、あまりに早すぎる来訪だ。
ガチャリと玄関のドアを開けると、氷上さんがにこりと挨拶する。
「琴葉先生、急にすみません。ちょうど用事で外に出ていたものですから」
「あ、い、いえ……こちらこそ、すみません……。あ、す、座ってお待ちください~!」
まさか来ると思っていなかった私は、ぼさぼさの髪に適当な部屋着姿のままだった。はっとして慌てて自室へと戻る。
適当な余所行きの服に着替えて、髪を整える。そうして紅茶を淹れて戻った。
「ま、まさかいらっしゃると思っていなくて……」
「すみません。直接話した方が早いかなと」
「今日は突然だったので、駅前のプリンしか買えなかったんですけど」とちゃっかり手土産を持って来てくれた氷上さんに、私は頭を下げる。
そのプリンを一緒につつきながら、氷上さんは話し始める。