転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「おまえが言う通り、ヘンリックという名のフューゲル侯爵家の令息が、第二王子殿下の護衛騎士を務めているそうだ」

「だから、そのヘンリックを……って、あれ?
 それってもしかして、今も第二王子殿下の護衛騎士をしてるってこと?」

「そうだが」

「ええぇ~! そんなはずないわ!」
 
 叫んだ私に、おじさんはうるさいと言うように顔を顰めた。

「なんで、そんなはずがないって思うんだ。
 なにか根拠があって言っているのか」

「だって! カリナが登場した時には、とっくに第二王子は死んでるはずなの!
 それで、自分を責めたヘンリック様は闇落ちしてなきゃおかしいのよ!」

「なにをわけがわからないことを言っている。
 第二王子殿下はご健在だ」

「だから、それがおかしいって言ってるんじゃないのぉ!」

 ここは、漫画の世界のはずなのに。
 最初からシナリオが激変してるって、どういうこと⁉
 
 さっきまで脳内で繰り広げられていた闇落ち騎士様との淫らな妄想が、ガラガラと崩れ去る。

 ヒロインなはずの私は、頭を抱えた。

「いったいなにがどうなってるのよ~!」

 私の叫びが冷たい牢に響き渡り、おじさんはまた顔を顰めた。 

 私はそれから、訊かれるままに様々なことを話した。

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