転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「今日のところの私の仕事は終わりだ。
 おまえが言ったデタラメは一応上に報告するが、そこから先どのような判断になるかはわからない」

「待って、私はどうなるのよ⁉
 ここで一晩過ごせっていうの⁉」

 床も壁も冷たい石でできていて、小さい窓と粗末なベッドが一つずつあるだけの牢の中で過ごさないといけないなんて、あんまりだ。

「おまえは、アブラッハの庭に許可なく侵入した罪人なんだぞ。
 まだ拷問されていないだけマシだと思え」

「ご、拷問⁉」

「食事は後で看守が運んでくるから、自白する気になったらその看守に伝えろ。
 また私が話を聞きに来ることになるが、今日と同じ話を繰り返すようなら、次は拷問だ」

「そ、そんなぁ……」

 私が真実しか話していないし、悪いこともなにもしていないのに!
 
「言っておくが、我が国の拷問は苦しいぞ。
 どれだけ痛めつけても、死んでさえいなければ回復できるからな。
 そしてまた痛めつけられるの繰り返しだ。
 そうなりたくなかったら、さっさと自白するんだな」
 
 私はさっと青ざめた。
 漫画の中にはそんな描写はなかったが、アブラッハがあれば確かにそういうことが可能だということは私にも理解できる。

「ま、待って……待って、お願いだからぁ!」

「なんだ、自白するのか」

「え、えっと……」

 私は必死で考えた。
 こんなところでこれ以上過ごしたくない。
 拷問されるのも、絶対に嫌だ!

 今までは逆ハーレム構成員のイケメンたちのことばかり考えていたが、そういえばヒロインであるカリナはどんな女の子だっただろうか。

< 116 / 147 >

この作品をシェア

pagetop