転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「そうだ……そうだった! 私、回復魔法が使えるのよ!」
「回復魔法だと? 本当なのか?」
「本当よ! だって、私は聖女なんだもの!」
おじさんは変な顔をしたが、私はここで去られては困ると一生懸命に思い出したことを話した。
「それから、ええと……そう! アブラッハの根本に、虫型の魔物がいるの!
そのせいでアブラッハが弱ってるのよ!
魔物を退治したら、アブラッハは元気になるわ!
これも本当のことなんだから、調べてみてよね!」
おじさんは疑わし気な顔でじっと私を見つめてから、速足で去って行った。
呼び止めたが、今度は立ち止まってはくれなかった。
どうなることかと不安に震えながらじっとしていると、二人の衛兵がやってきて私は牢から連れ出された。
非力な私が抵抗したところで無駄なのはわかっているので大人しくついていくと、行きついたのは応接室だと思われる部屋だった。
高そうなカウチとテーブルが中央にあり、壁には絵が飾られているが、そんなものに私は目もくれなかった。
「へ、ヘンリック様! それから、エッカルト様!」
そこには、二人の逆ハーレム構成員がそろっていたのだ。
だが、私は一目でまた漫画と違うことに気が付いた。
漫画のヘンリックは目の下にはクマがあり常に陰鬱なオーラを放っていたのに、肌はつるつるで健康そうな顔色で、陰鬱なオーラなんて欠片もない輝くような美貌の騎士様だ。
エッカルト・アンゼルム大公も、後遺症で右手は曲がったまま伸ばすことができず、足も不自由で杖が手放せないはずなのに、今は普通に背筋を伸ばして二本の足で立っている。
「本当に私たちを知っているようだな」
ヘンリックは首を傾げた。
「見覚えがない顔だね。
私は会ったことのある女性の顔は全て覚えているんだけど」
アンゼルム大公も同じように首を傾げた。
「回復魔法だと? 本当なのか?」
「本当よ! だって、私は聖女なんだもの!」
おじさんは変な顔をしたが、私はここで去られては困ると一生懸命に思い出したことを話した。
「それから、ええと……そう! アブラッハの根本に、虫型の魔物がいるの!
そのせいでアブラッハが弱ってるのよ!
魔物を退治したら、アブラッハは元気になるわ!
これも本当のことなんだから、調べてみてよね!」
おじさんは疑わし気な顔でじっと私を見つめてから、速足で去って行った。
呼び止めたが、今度は立ち止まってはくれなかった。
どうなることかと不安に震えながらじっとしていると、二人の衛兵がやってきて私は牢から連れ出された。
非力な私が抵抗したところで無駄なのはわかっているので大人しくついていくと、行きついたのは応接室だと思われる部屋だった。
高そうなカウチとテーブルが中央にあり、壁には絵が飾られているが、そんなものに私は目もくれなかった。
「へ、ヘンリック様! それから、エッカルト様!」
そこには、二人の逆ハーレム構成員がそろっていたのだ。
だが、私は一目でまた漫画と違うことに気が付いた。
漫画のヘンリックは目の下にはクマがあり常に陰鬱なオーラを放っていたのに、肌はつるつるで健康そうな顔色で、陰鬱なオーラなんて欠片もない輝くような美貌の騎士様だ。
エッカルト・アンゼルム大公も、後遺症で右手は曲がったまま伸ばすことができず、足も不自由で杖が手放せないはずなのに、今は普通に背筋を伸ばして二本の足で立っている。
「本当に私たちを知っているようだな」
ヘンリックは首を傾げた。
「見覚えがない顔だね。
私は会ったことのある女性の顔は全て覚えているんだけど」
アンゼルム大公も同じように首を傾げた。