転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「う、うわぁぁ……」

 目を見張るほどのイケメンが二人並んでいる。
 だが、明らかに漫画の内容と違う。

「ヘンリック様が、闇落ちしてない……
 エッカルト様が、杖ついてないぃ……」

 つい愕然としてしまった私だが、はっと気を取り直した。

 いけないいけない。
 二人とも元気なようだが、それならそれでいい。
 私の魅力で、夢中にさせてしまえばいいのだから。

「あの、始めまして。
 私、カリナっていいます。
 回復魔法が使える聖女なんです」

 私は瞳をうるうるさせて、得意の上目遣いをしながらにっこり可愛く微笑んだ。
 パジャマ姿のままなのでいまいち様にならないが、それでも私は十分に可愛いはずだ。

 だが、私の渾身の笑顔はさっぱり響かなかったようで、二人とも眉一つ動かさなかった。

「とりあえず、回復魔法が使えるかどうかの検証をする」

 ヘンリックが合図をすると、私を牢から連れ出した衛兵の一人が右袖を捲って腕を見せた。
 そこには、ほぼ治りかけの黄色っぽい内出血の痕があった。

 これを魔法で回復してみせろ、ということなのだということが私にもわかった。

(ええと、カリナはどうしてたっけ)

 私は漫画を思い出しながら、手をかざした。

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