転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「それなら、私はヘンリック様と結婚したいです!」

 渾身の瞳うるうる上目遣いを炸裂させたのに、ヘンリックはあっさりと首を横に振った。

「私は既婚者だから無理だ。
 バルテン王国では重婚は認められていない」

「ええぇ~‼ そんな、嘘でしょ⁉」

 闇落ちしてない上に、結婚までしてるなんて!

 愕然とする私に、第二王子は訝し気な顔をした。

「なんでそんなに驚くの?
 ヘンリックはもういい年だし、この顔だよ?
 結婚してない方がおかしいと思わない?」

「……あ! わかった! 政略結婚なのね⁉
 無理矢理押し付けられて」

「違う。私から望んで妻を迎えた。
 断じて政略結婚などではない」

「そ、そんなぁ……嘘ぉ……」

 私はがっくりと項垂れた。

 せっかく小説のヒロインになれたのに……
 極上のイケメン四人との、めくるめくアレコレができると思っていたのに……

「そんなにヘンリックが好きなの?
 顔がいい男なら、他にもいると思うけど」

「ヘンリック様は、私の推しなんですぅ……」

「オシ?」

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