転生小説家の華麗なる円満離婚計画
㉑
慌ただしい日々は瞬く間に過ぎ去り、魔王が聖女を迎えに来る日はあっという間にやってきた。
「お姉様……」
「もう、マリーったら。そんなに泣かないで」
「だって……お姉様とお兄様がいなくなってしまうなんて……私……」
純白の花嫁衣裳を纏った私と、全身真っ黒で頭に角のカチューシャをつけて魔王のコスプレをしているエルヴィンを前に、マリアンネはアメジストの瞳からぽろぽろと涙を流した。
生まれた時から一緒だった異父兄と、五歳の時から一緒だった異母姉と同時にお別れすることになったのだ。
寂しいのも無理はないと思うが、なにもこれが今生の別れというわけではない。
「泣くな、マリー。
俺とお嬢はしばらく離れるが、おまえにはリックがいる」
「そうよ。あなたはついにリックの正式な妻になるのよ。
だから、なにも泣くことはないわ」
「……私に、リックの妻が務まるでしょうか」
「あなたでなければ、誰にも務まらないわよ」
私は可愛い異母妹を抱きしめた。
「マリー、愛しているわ。
あなたは私の自慢の妹よ。
リックと幸せになってね」
そしてエルヴィンは、抱き合う私たちを二人まとめて広い胸に抱きしめた。
「俺たちは、どこにいてもおまえの幸せを祈っているよ。
元気でな」
マリアンネも、もう十九歳。立派な大人なのだ。
出会ったころはあんなに小さかったのに、今は私のほうが背が低い。
これからは兄と姉に守られる妹ではなく、愛する夫と支えあう妻として、ヘンリックと生きていくのだ。
私たちのマリアンネなら、その務めを果たせるはずだ。
「お姉様……」
「もう、マリーったら。そんなに泣かないで」
「だって……お姉様とお兄様がいなくなってしまうなんて……私……」
純白の花嫁衣裳を纏った私と、全身真っ黒で頭に角のカチューシャをつけて魔王のコスプレをしているエルヴィンを前に、マリアンネはアメジストの瞳からぽろぽろと涙を流した。
生まれた時から一緒だった異父兄と、五歳の時から一緒だった異母姉と同時にお別れすることになったのだ。
寂しいのも無理はないと思うが、なにもこれが今生の別れというわけではない。
「泣くな、マリー。
俺とお嬢はしばらく離れるが、おまえにはリックがいる」
「そうよ。あなたはついにリックの正式な妻になるのよ。
だから、なにも泣くことはないわ」
「……私に、リックの妻が務まるでしょうか」
「あなたでなければ、誰にも務まらないわよ」
私は可愛い異母妹を抱きしめた。
「マリー、愛しているわ。
あなたは私の自慢の妹よ。
リックと幸せになってね」
そしてエルヴィンは、抱き合う私たちを二人まとめて広い胸に抱きしめた。
「俺たちは、どこにいてもおまえの幸せを祈っているよ。
元気でな」
マリアンネも、もう十九歳。立派な大人なのだ。
出会ったころはあんなに小さかったのに、今は私のほうが背が低い。
これからは兄と姉に守られる妹ではなく、愛する夫と支えあう妻として、ヘンリックと生きていくのだ。
私たちのマリアンネなら、その務めを果たせるはずだ。