転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「お姉様……お手紙を書いてくださいね」

「もちろんよ。落ち着いたらすぐに書くわ」

「お兄様、たまには飛んできてくださいね」

「ああ、俺なら一晩で隣国からここまで飛べる。
 宵闇に紛れて飛んでくるよ。
 もちろん、その時はお嬢も連れてくるからな」

 エルヴィンの翼があれば実は移動も楽々なので、国外に出ても会いに来るのはそう難しくはない。
 実際、一年後くらいには一度様子を見に戻ってくるつもりだし、そんなに寂しがることはないのだ。

「さあ、もう別れは済んだかな。
 そろそろ行かなくては」

 ヘンリックが声をかけてきた。

「ええ、そうね。
 行きましょうか。
 エル、また後でね」 
 
「ああ。リック、お嬢を頼んだぞ」

「わかってる。リサもマリーのことも、任せてくれ」

 エルヴィンは大きく開け放たれた窓から、星が瞬く夜空へと飛び立った。

 それを見届けて、私はヘンリックと一緒に馬車に乗り込み、王城へと向かった。

「リサ、今までありがとう。
 きみたちとの生活は、とても楽しかったよ」

「私もよ。あなたと契約結婚できて、本当によかったわ」

 名残惜しい気持ちもあるが、私たちの道はここで分かれる。
 予想とはかなり違う形になったものの、この離別は結婚前から予定していたことなのだ。

「同じ屋根の下で暮らしてなくても、私たちはずっと家族よ。
 あなたは私とエルの義弟になるんですからね」

「そうだね。僕たち四人は、これからもずっと家族のままだ」

 ヘンリックはほんの少しだけ寂しそうに笑った。

 マリアンネもヘンリックも、寂しいのは今だけだ。
 正式に結婚して幸せいっぱいな新婚夫婦になったら、寂しいのなんて忘れてしまうだろう。

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