転生小説家の華麗なる円満離婚計画

㉓ カリナ視点

 はっと気がついたら、私は薄暗い部屋にいた。
 知らない部屋ではない。

 私が婚約者と住んでいた部屋のリビングだ。

「夢……だったの……?」

 私がヒロインの漫画の中の世界に異世界転移したのに、シナリオが大きく変わっていて、全く思い通りにならなくて、最後は魔王に……

 いや、違う。
 夢ではない。
 だって、私が今着ているのは、最後に着ていた白い花嫁衣裳なのだから。
 
 あの女は、私を元の世界に戻すって言ってた。
 だから、きっとそういうことなのだろう。

「あの女……あの女のせいで……」

 私が異世界転移した世界に、まさか異世界転生した松島さんがいるなんて。

 おかげで、私がヒロインのはずなのに、イケメンたちに溺愛され逆ハーレムを築くことができなかった。
 
 地味で冴えない女のくせに、生意気にも営業部のエースと付き合ってたから、寝取ってやった。
 とてもいい気分だったが、それも長くは続かなかった。
 
 職場では輝いて見えた彼は、私生活は地味で面白味のない男だとわかったからだ。
 私がどれだけ可愛くおねだりしても、バッグもピアスも買ってくれなかった。
 結婚式も私の希望はとおらず、家族だけの地味な式を予約されてしまった。
 ド派手な結婚式を挙げて、大勢から祝福される幸せな花嫁になるのが夢だったのに!

 しかも、私が不満を言うと、「|紫≪ゆかり≫はそんなこと言わなかった」って彼は溜息をつくのだ。

 あんな女より私のほうが百万倍可愛いじゃないの!
 そんな私と結婚できるのだから感謝すべきなのに、どうしてそんな顔するのよ⁉

 こんなことなら、寝取るだけにすればよかった。
 仕事が怠かったから専業主婦になろうと思って、エコー写真をフリマアプリで買って結婚にまで持ち込んだのは失敗だった。
 
 あんな嘘にあっさりひっかかった時点で、つまらない男だと気づくべきだった。
 地味で冴えない女にお似合いの、地味で面白みのない男だったのだ。

 入籍は後回しで結婚式だけ挙げて、そのすぐ後で流産したってことで別れてしまおう。
 こんなに可愛い私と結婚式できるんだから、感謝してよね!

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