転生小説家の華麗なる円満離婚計画
 そう思っていたところで異世界転移し、面倒事とおさらばできたと思っていたのに、またここに戻されてしまった。

 漫画での逆ハーレム構成員とはまったく仲良くなれなかったが、それなりにイケメンな男を数人侍らせることができていたのに。
 私と寝ると魔力とかが増えるということで、とても喜ばれていた。
 当然だ。私こそが真の聖女なんだから!

 それなのに、また地味な生活に逆戻りだ。

 あの女のせいで!

「カリナ?」

 背後で声がして、パッと部屋が明るくなった。

「こんな朝早くから、どうしたの?」

 パジャマ姿の彼が、寝起きのしょぼしょぼした顔をしてリビングの明かりをつけたところだった。
 
 なにも不審がっている様子はない。
 私は異世界で数か月過ごしたが、おそらくここでは数時間くらいしか経っていないのだろう。

「なんだか、眠れなくって……」

 そう言うと、彼は怪訝な顔をした。

「その服、どうしたの?」

「えっと……お友達から、結婚祝いにもらったの」

 壁の時計を見ると、五時をさしている。
 朝の五時に見覚えのない花嫁衣裳を着てリビングに立っていたら、彼が妙に思うのも当然だ。

「こ、これね、マタニティドレスなの。
 お腹が大きくなっても着れるから、マタニティフォトを撮ったらって薦められて」

 偶然だが、このドレスは背中のリボンで腰回りを調節できるデザインなので、そういうことにして誤魔化した。

 実際には私は妊娠していないし、お腹が大きくなることはないのだが、彼はそれを知らないのだから騙されてくれるだろう。

 そう思ったのに、彼は私の顔を覗き込むと、見たことがないほど険しい顔をした。

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