転生小説家の華麗なる円満離婚計画
㉕
「うーん、やっとできた……」
私は椅子に座ったままぐっと背伸びをした。
ずっと同じ姿勢のまま机に向かっていたので、すっかり肩のあたりが強張ってしまっている。
「お疲れ様。お茶を淹れようか」
「ええ、お願いね」
エルヴィンがティーポットに湯を注ぐと、最近の定番になっている茶葉のいい香りが漂ってきた。
「今回のは、我ながらいい出来だと思うの。
しばらく執筆から遠ざかるから、たくさん売れるといいのだけど」
「俺も今回のは特に面白いと思うよ。
売り上げ記録を更新するかもしれないな」
「ふふふ、そうなるといいわね」
優しい香りのお茶を含み、ほっと一息ついた。
「あ、ほら、お腹を蹴ってる。
この子も、お父さんが淹れてくれたお茶が美味しいって言ってるんだわ」
「生まれてきたら、赤子でも飲めるお茶を淹れてやるからな」
エルヴィンは私の隣に座り、私のお腹に大きな手でそっと触れて青い瞳を細めた。
私とヘンリックが円満離婚してから、四年の月日が流れた。
私とエルヴィンは予定通り二人で旅行に出たのだが、それまではそんな気配はまったくなかったのに彼は私をせっせと口説き始め、私もそれに絆されてしまったのだ。
マリアンネのように、彼にもいつかいい人と結婚してほしいと思っていたのだが、その相手が私になるということは想定していなかった。
彼はずっと前からいつか私を嫁にするつもりだったというから、驚きだ。
私は恋愛小説家なのに、この方面に関してあまりに鈍すぎると自分で自分に呆れたものだ。
とはいえ、考えてみれば彼以外に私が結婚できる相手なんて見つかるわけがないし、こうなってよかったのだと思う。
エルヴィンは私を心から愛してくれていて、とても大事にされているのがわかる。
私のほうも、以前とは違う気持ちで彼を愛するようになった。
私たちは、夫婦という形で本当の家族になったのだ。
私は椅子に座ったままぐっと背伸びをした。
ずっと同じ姿勢のまま机に向かっていたので、すっかり肩のあたりが強張ってしまっている。
「お疲れ様。お茶を淹れようか」
「ええ、お願いね」
エルヴィンがティーポットに湯を注ぐと、最近の定番になっている茶葉のいい香りが漂ってきた。
「今回のは、我ながらいい出来だと思うの。
しばらく執筆から遠ざかるから、たくさん売れるといいのだけど」
「俺も今回のは特に面白いと思うよ。
売り上げ記録を更新するかもしれないな」
「ふふふ、そうなるといいわね」
優しい香りのお茶を含み、ほっと一息ついた。
「あ、ほら、お腹を蹴ってる。
この子も、お父さんが淹れてくれたお茶が美味しいって言ってるんだわ」
「生まれてきたら、赤子でも飲めるお茶を淹れてやるからな」
エルヴィンは私の隣に座り、私のお腹に大きな手でそっと触れて青い瞳を細めた。
私とヘンリックが円満離婚してから、四年の月日が流れた。
私とエルヴィンは予定通り二人で旅行に出たのだが、それまではそんな気配はまったくなかったのに彼は私をせっせと口説き始め、私もそれに絆されてしまったのだ。
マリアンネのように、彼にもいつかいい人と結婚してほしいと思っていたのだが、その相手が私になるということは想定していなかった。
彼はずっと前からいつか私を嫁にするつもりだったというから、驚きだ。
私は恋愛小説家なのに、この方面に関してあまりに鈍すぎると自分で自分に呆れたものだ。
とはいえ、考えてみれば彼以外に私が結婚できる相手なんて見つかるわけがないし、こうなってよかったのだと思う。
エルヴィンは私を心から愛してくれていて、とても大事にされているのがわかる。
私のほうも、以前とは違う気持ちで彼を愛するようになった。
私たちは、夫婦という形で本当の家族になったのだ。