転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「そうかもしれませんね。
私なら、侯爵家令息という身分もあります。
キルステン伯爵家からしても、理想の嫁ぎ先といえるでしょう」
言いながら目の前に置かれたティーカップを手に取り、なにも考えずに中身を口にしたらしいヘンリックは、一口飲んで目を丸くした。
「いい香りでしょう? 林檎の皮を茶葉と一緒にポットに入れてあるんです」
見た目は普通の紅茶だが、飲んでみると林檎の甘い香りがする、私のお気に入りのお茶だ。
バルテン王国では、紅茶は産地などによる種類があるが、ハーブティーはほとんど知られておらず、果物をいれたお茶はおそらく存在しない。
「もしかして、これも前世の記憶によるものですか?」
「その通りです。
とはいえ、私はアイディアを出すだけで、実際のブレンドは侍従にまかせっきりなのですけど。
私と契約結婚したら、美味しいお茶が飲み放題になりますわよ」
「……正直、ものすごく心惹かれますね」
ヘンリックは好奇心を隠せないといった目を私とエルヴィンを見比べた。
エルヴィンは無表情のままそれを受け流し、マリアンネは気配を消して壁際に控えている。
ヘンリックが私を見定めようとしているように、エルヴィンとマリアンネもヘンリックを私の契約結婚の相手として相応しいか見定めようとしているのだ。
「よろしければ、昼食をとっていかれませんか?
前世の記憶を元にしたお料理を準備してありますの。
味は保証いたしますわ」
「いいですね。是非お願いします」
エメラルドの瞳が期待に輝いた。
予想以上にとても好感触で、私も期待に胸を膨らませていた。
私なら、侯爵家令息という身分もあります。
キルステン伯爵家からしても、理想の嫁ぎ先といえるでしょう」
言いながら目の前に置かれたティーカップを手に取り、なにも考えずに中身を口にしたらしいヘンリックは、一口飲んで目を丸くした。
「いい香りでしょう? 林檎の皮を茶葉と一緒にポットに入れてあるんです」
見た目は普通の紅茶だが、飲んでみると林檎の甘い香りがする、私のお気に入りのお茶だ。
バルテン王国では、紅茶は産地などによる種類があるが、ハーブティーはほとんど知られておらず、果物をいれたお茶はおそらく存在しない。
「もしかして、これも前世の記憶によるものですか?」
「その通りです。
とはいえ、私はアイディアを出すだけで、実際のブレンドは侍従にまかせっきりなのですけど。
私と契約結婚したら、美味しいお茶が飲み放題になりますわよ」
「……正直、ものすごく心惹かれますね」
ヘンリックは好奇心を隠せないといった目を私とエルヴィンを見比べた。
エルヴィンは無表情のままそれを受け流し、マリアンネは気配を消して壁際に控えている。
ヘンリックが私を見定めようとしているように、エルヴィンとマリアンネもヘンリックを私の契約結婚の相手として相応しいか見定めようとしているのだ。
「よろしければ、昼食をとっていかれませんか?
前世の記憶を元にしたお料理を準備してありますの。
味は保証いたしますわ」
「いいですね。是非お願いします」
エメラルドの瞳が期待に輝いた。
予想以上にとても好感触で、私も期待に胸を膨らませていた。