転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「今日の献立は、中にチーズが入ったハンバーグ、シーザードレッシングのサラダ、カボチャのポタージュスープ、茸のマリネ、それからパンです。
 パンだけは普通ですけど、他は私のアイデアを元に美味しくなるよう料理人が頑張ってくれたレシピになっています」

「これは……肉、ですよね?」

「細かく切った肉に、スパイスや卵などを混ぜ合わせて、中にチーズを包み込んだ状態の塊にして焼いたものです」

「細かくしたのを、また塊にして……?」

 塊肉のまま焼いた方が簡単なのでは?とヘンリックの顔に書いてある。
 ハンバーグのことを説明した時の料理人も同じような顔をしていた。

「まぁとにかく、召し上がってみてくださいな。
 そうすれば、そんな手間をかけた意味がおわかりになると思いますから」

 毒味も兼ねて私が先に一口食べて見せると、ヘンリックもナイフとフォークでハンバーグを切り分けて食べた。

 そして、アップルティーの時よりももっと大きくエメラルドの瞳を見開いた。

「……これは、驚きました。
 中に入っているチーズが、肉とほどよく調和していますね」

「ふふ、そうでしょう。他のお料理もお口に合うといいのですけど」

 ヘンリックは優雅な手つきながら、私の倍以上の速度で料理を平らげていく。
 どれも気に入ってくれたようで、最後にデザートとしてだされたコーヒーゼリーまでしっかり完食した。

「どれもこれも、今までに食べたことのない料理ばかりでした。
 王城の晩餐会で供される料理よりも美味しかったと思います」

「満足していただけたようでなによりですわ」

 私は食後のお茶を飲みながら、微笑んだ。

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