転生小説家の華麗なる円満離婚計画
 私たちは家族として互いに助け合い支え合いながら、すくすくと育っていった。
 
 私としては、エルヴィンとマリアンネが成長したら自由に未来を選べるようにとお勉強などをさせていたのだが、絆が予想以上に強くなりすぎたのか、二人とも私から離れようとしなかった。

 エルヴィンは十分に騎士として身を立てることができる腕前になっているのに侍従のままだし、私と一緒に淑女教育を受けた可愛らしいマリアンネは外に出れば嫁ぎ先は選び放題になるだろうに、そんなことにはまったく興味がないようだ。

 二人が傍にいてくれるのはありがたいが、それよりも大切な家族に幸せになってほしいのに。

「私は恋愛には興味ありませんから。
 お姉様の小説で恋愛気分を味わえれば十分です」

「騎士になんかなったら、傍にいられる時間が減ってしまうじゃないか。
 お嬢にお茶を淹れる役目を誰かに譲る気はない」

 何度かさりげなく水を向けてみたが、二人の答えはいつも同じだった。
 
 エルヴィンは私に恩義を感じてのことだと思うが、マリアンネには私の男嫌いが影響してしまったのかもしれない。
 私は十五歳になる頃には小説でお金を稼ぐことができるようになっていたので、家を出て三人でずっと暮らすのも悪くないかなと思っていた。

 とはいえ、それはあくまでも選択肢の一つで、出奔するのは最後の手段のつもりだった。
 一応貴族令嬢である私が突然姿を消したら、お世話になった使用人たちに迷惑がかかってしまうかもしれないからだ。

 母と弟のおかげで、ほとんど社交界に出ていないのに私は悪評にまみれている。
 こんな私にまともな嫁ぎ先などないだろうし、それ以前に私は誰にも嫁ぐつもりなどないかった。
 修道院に行くふりをして、三人で隣国あたりに逃げるのが無難だろうか。

 ヘンリックに出会ったのは、そんなことを考えている時のことだった。
  
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