転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「怖ぁい、そんなに睨まなくてもいいじゃないですかぁ……
 ルーカス様! 助けてくださぁい!」

 ターゲットを変えたようで、私の横をすり抜けて殿下に迫ろうとしたカリナだが、エルヴィンがそれを阻止した。

「きゃあ! なにすんのよ!」

 手首を掴まれ、カリナは悲鳴を上げた。

「お嬢に近づくな」

「放して! 放してよ! ……って、あれれ?」

 自分の手首を掴んでいるエルヴィンを見上げ、カリナは目を瞠った。

「やだ、カッコいい……」

 ぽっと頬を染めるカリナに、私とヘンリックはそっと目を見合わせた。

 エルヴィンがカッコいいのは私も認めるが、いくらなんでも惚れっぽすぎないか。
 罠をしかけた私でも呆れてしまう。

「ねぇあなた、侍従なのよね? 私に仕える気はない?」

「ない」

 にべもなく突き放すエルヴィン。
 
「彼は私の忠実な侍従なの。手放す気はないわ」

 ヘンリックに肩を抱き寄せられ、エルヴィンに背中で庇われながら、私はふふんと笑って見せた。

「な……そんな……あんたばっかりズルいぃぃ!」

 カリナは簡単に挑発に乗ってきた。

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