転生小説家の華麗なる円満離婚計画
⑮
「はぁ? エルが魔王? こんな時に、なにを言ってるんだよ?」
意味が解らないといった顔をするヘンリック。
無理もないとは思うが、状況的にエルヴィンがその漫画に出てきた魔王なのだと私も思う。
「……今から証拠を見せる。驚かないでくれ」
エルヴィンはため息をついてカウチから立ち上がると、目を閉じて意識を集中した。
じわじわと白皙の頬が色を変えていく。
同時に、エルヴィンの背中から黒い靄が溢れだし、大きな黒い翼へと姿を変えたころには、エルヴィンの肌は褐色に染まっていた。
瞼を開くと、いつもの澄んだ青い瞳ではなく金色の瞳が現れた。
ついさっきヘンリックが口にした、魔王の姿そのものだ。
「エ……エル⁉ なんだよそれ⁉」
カウチから転げ落ちそうなくらい驚くヘンリックを、隣でマリアンネが支えた。
「おそらくだが、俺は魔族の先祖返りなんだ」
かつて、この大陸には魔族と呼ばれる人たちがいた。
人間に比べ圧倒的に豊富な魔力をもち、今のエルヴィンのように翼があったり角が生えたりしていたそうだ。
ただ、繁殖力が弱かったため、次第に数を減らしていき、最後の一人が亡くなったのは今から五百年ほど前だと記録されている。
「先祖返り……そんなこと、あり得るのか……?」
「それ以外に説明がつかないだろ」
「ということは、マリア……もしかして、きみも?」
「いいえ、私は違うわ。
母もお兄様のお父様も、普通の人だった。
お兄様だけが特別なのよ」
「そうなのか……」
ヘンリックは、姿が変貌した友人を上から下まで眺めた。
意味が解らないといった顔をするヘンリック。
無理もないとは思うが、状況的にエルヴィンがその漫画に出てきた魔王なのだと私も思う。
「……今から証拠を見せる。驚かないでくれ」
エルヴィンはため息をついてカウチから立ち上がると、目を閉じて意識を集中した。
じわじわと白皙の頬が色を変えていく。
同時に、エルヴィンの背中から黒い靄が溢れだし、大きな黒い翼へと姿を変えたころには、エルヴィンの肌は褐色に染まっていた。
瞼を開くと、いつもの澄んだ青い瞳ではなく金色の瞳が現れた。
ついさっきヘンリックが口にした、魔王の姿そのものだ。
「エ……エル⁉ なんだよそれ⁉」
カウチから転げ落ちそうなくらい驚くヘンリックを、隣でマリアンネが支えた。
「おそらくだが、俺は魔族の先祖返りなんだ」
かつて、この大陸には魔族と呼ばれる人たちがいた。
人間に比べ圧倒的に豊富な魔力をもち、今のエルヴィンのように翼があったり角が生えたりしていたそうだ。
ただ、繁殖力が弱かったため、次第に数を減らしていき、最後の一人が亡くなったのは今から五百年ほど前だと記録されている。
「先祖返り……そんなこと、あり得るのか……?」
「それ以外に説明がつかないだろ」
「ということは、マリア……もしかして、きみも?」
「いいえ、私は違うわ。
母もお兄様のお父様も、普通の人だった。
お兄様だけが特別なのよ」
「そうなのか……」
ヘンリックは、姿が変貌した友人を上から下まで眺めた。