森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
 そんなリーゼロッテの寝顔を見つめ、ジークヴァルトはゆっくりと頬に指を滑らせる。

 無防備な唇を塞ぎ、すべてを奪ってしまいたい。そんな衝動に駆られるも、息を吐き理性を取り戻す。リーゼロッテの体力はいまだ回復しきっていない。ここまで待ったのだ。今自分が暴走したら彼女の傷が深まるだけだ。

 もう二度と、リーゼロッテを失いたくない。あの日々に戻ったら、今度こそ自分は気が狂うだろう。そんな確信の中、窓の外に目を向けた。

 今はこの温もりだけあればいい。(きた)る日を迎えるまでは、何が何でも自制をし続けなくては。


「――婚姻の託宣が降りるまでだ」

 何度も言い聞かせてきた言葉を、ジークヴァルトは(いまし)めのようにつぶやいた。






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