森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
少しだけ開けられた窓で、レースのカーテンが風に舞い躍る。やわらかな日が差し込む部屋の寝台へ、義務感だけで近づいていった。
「アルベルト」
見上げてくる菫色の瞳に、息が止まった。光の中、そこにいたのは、クリスティーナの姿だった。
「なぜ……?」
かすれた声で問う。自分はとっくに正気を手放していたのだろうか。
「さぁ、なぜかしら? わたくしにも分からないのよ。ねぇ、アルベルト。これが夢ではないと、わたくしにきちんと教えてちょうだい」
「クリス……ティーナ様……」
差し伸べられた白い手を取る。そこにいつもあったハンドチェーンの飾りはなく、龍のあざも見られなかった。
夢ならば永遠に醒めないで欲しかった。その肢体を、逃さないようにとかき抱く。
「痛いわ、アルベルト。わたくし、怪我をしていてよ?」
はっと体を離す。そこを引き留めるように、クリスティーナの手がこの背に回された。
「痛むのは足だけよ。もっと上手に抱きしめなさい」
「クリスティーナ……」
すべらかな頬に指を滑らせ、確かめるように口づける。軽く触れただけの唇は、やわらかくとてもあたたかかった。
頬に添えた手の表面を、ふいに何かが滑り落ちた。クリスティーナの瞳から、大粒の涙が零れ落ちていく。
「アルベルト……あなたがちゃんと来てくれてよかった。わたくしの言いつけを破って、死を選んだのではないのかと……ずっとそればかりを心配していたから」
「わたしがあなたの言葉に背けるはずもないでしょう?」
「そう、ならよかったわ。でなかったらわたくしはいずれ、ヘッダとしてアルベルト以外の男を伴侶に迎えていたもの」
「そんなことは絶対にさせない、永遠にあなたはわたしのものだ……!」
震える声のまま強く抱きしめる。アルベルトの頬にも涙が伝っては、クリスティーナの首筋を濡らしていった。
「いいわ、アルベルトのものになってあげる。そのかわりアルベルトもずっとわたくしのものよ?」
「はじめからわたしはあなたのものだ。もう二度と、離れない」
新たに芽生えた息吹に声が詰まった。
ともに歩いていける。その先にある、ひかりに向かって。
「アルベルト」
見上げてくる菫色の瞳に、息が止まった。光の中、そこにいたのは、クリスティーナの姿だった。
「なぜ……?」
かすれた声で問う。自分はとっくに正気を手放していたのだろうか。
「さぁ、なぜかしら? わたくしにも分からないのよ。ねぇ、アルベルト。これが夢ではないと、わたくしにきちんと教えてちょうだい」
「クリス……ティーナ様……」
差し伸べられた白い手を取る。そこにいつもあったハンドチェーンの飾りはなく、龍のあざも見られなかった。
夢ならば永遠に醒めないで欲しかった。その肢体を、逃さないようにとかき抱く。
「痛いわ、アルベルト。わたくし、怪我をしていてよ?」
はっと体を離す。そこを引き留めるように、クリスティーナの手がこの背に回された。
「痛むのは足だけよ。もっと上手に抱きしめなさい」
「クリスティーナ……」
すべらかな頬に指を滑らせ、確かめるように口づける。軽く触れただけの唇は、やわらかくとてもあたたかかった。
頬に添えた手の表面を、ふいに何かが滑り落ちた。クリスティーナの瞳から、大粒の涙が零れ落ちていく。
「アルベルト……あなたがちゃんと来てくれてよかった。わたくしの言いつけを破って、死を選んだのではないのかと……ずっとそればかりを心配していたから」
「わたしがあなたの言葉に背けるはずもないでしょう?」
「そう、ならよかったわ。でなかったらわたくしはいずれ、ヘッダとしてアルベルト以外の男を伴侶に迎えていたもの」
「そんなことは絶対にさせない、永遠にあなたはわたしのものだ……!」
震える声のまま強く抱きしめる。アルベルトの頬にも涙が伝っては、クリスティーナの首筋を濡らしていった。
「いいわ、アルベルトのものになってあげる。そのかわりアルベルトもずっとわたくしのものよ?」
「はじめからわたしはあなたのものだ。もう二度と、離れない」
新たに芽生えた息吹に声が詰まった。
ともに歩いていける。その先にある、ひかりに向かって。