贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

2.断罪の瞬間に誓った愛

時は回帰前、王国歴733年10月1日

結婚して一ヶ月後には高齢のセレステン国王陛下から王位を譲り受けたオスカー。アベラルド王家が彼の治世で呆気なく終わると誰が予想できただろう。

夫に愛され、幸せな結婚生活。
その先にあったのは愛する夫と罵声を浴びせられながら首を切られる最期の日だった。

人が人を処刑する為に作った処刑道具ギロチン。私の長かった自慢の銀髪は、無惨にも切り落とされていた。
断頭台の前で罪状を読み上げられている夫オスカーを見つめる。
生まれて来てから人を見下ろしていた彼が跪く姿を見るのは最初で最後だろう。
死を待ち受けている絶望的な状況で、オスカーはずっと処刑を待機する私だけを見つめていた。

垂直の木材の上にセットされた鈍い色をした刃から、罪人の絶命の叫びが聞こえてくるようだ。

ずっと思いを寄せていた人と結婚できた日がふと脳裏に蘇る。あの時の私は有頂天で自分が世界一幸福な女だと信じて疑わなかった。政略結婚だが私とオスカーは八年前婚約した時からずっと仲睦まじいカップルだった。

十歳の時にオスカーの婚約者になった私は彼の為になる女になるように育てられた。
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