贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
ネタをオウム返しのように真似するなんて、子供にすることだ。

彼は私を頭の悪い子だと思っているのだろう。確かに私は馬鹿なふりをしたり愚かなところもあるけれど、舐められるのは嫌いだ。
レッドダイヤモンドの石言葉は『挑戦』。この自信に溢れた歴戦を乗り越えた男に私も挑戦してみる。

───まぁ、私が彼を好きになる事はないだろう。

なぜならば、私はオスカーを好きになるのに二年掛かった。
その話は八年前から始まる。

八年前のある夜、仲睦まじいヘッドリー夫婦の寝室の前を通った時に興味深い会話を聞いた。

『アンリエット、シェリルがオスカー王太子殿下の婚約者候補になってる』
『まあ、難しいでしょうね。エレーヌ王妃は縁戚関係にあるレイラ嬢を推すでしょうし』
『セレステン国王陛下は我々貴族派ではなく、王族派の令嬢をオスカー王太子の婚約者に据えたいと考えているようだしな』

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