贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
二人の期待含みの諦めムードの会話。私は二人は何も分かっていないと思った。通常なら、王族も貴族も親が婚約者を決める。でも、今のアベラルド王家は例外だ。オスカーは高齢のセレステン国王にとってやっと授かった跡継ぎであり、長きに渡り石女と陰口を言われたエレーヌ王妃にとって周囲を黙らせた救世主のような存在。オスカーは国王夫婦にとって、いるだけで感謝しかない存在なのだ。婚約者の最終的な決定権がオスカーにあるのは明白だった。

綺麗な金髪に、伏せたまつ毛に彩られた憂いのあるアメジストの瞳が美しいオスカー・アベラルド。ルックスは好みだけれど、オスカーの傲慢な性格が嫌いだった。

(まあ、でも十二歳なら何とでもなりそうね)

性格など私好みに変えて仕舞えば、好きになれるかもしれない。私は取り敢えず両親が白旗を掲げている戦いに挑戦してみることにした。

オスカーは生まれながらに国王になる事が決まっている男の子。皆に気を遣われ傲慢になっている。周囲の貴族令嬢たちは彼の気を引くことに必死だ。

まずは、周りの子とは違う大胆な言動で彼の気を引く。そして、他の男(レナルド、乳児)の影をちらつかせる。

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