贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
案の定、釣れた彼は夕刻、再びヘッドリー侯爵邸を訪れた。私は手のひらに母の頬紅をつけて、彼の前に現れる。貴族令嬢として控えめな自分を演出。
恥ずかしがり、顔を隠した隙に頬紅を頬に塗る。
控えめで恥ずかしがり屋なのに、自分の前だけで大胆になってくれるような女の子に彼は惹かれ始めた。
私はオスカーが次期国王として誰にも砕けた姿を見せられない孤独を感じていたことに気が付いていた。

私はめでたくオスカーの婚約者になることに成功。
私の好みの性格に彼を育てるのに二年掛かった。「私だけを溺愛するシェリルファーストな男」に彼が仕上がる頃には私は彼に恋に落ちていた。

───そして、今、目の前にいる十八歳の自信家な帝国の皇太子。彼の性格にも不満があるが、傲慢で強かな性格は完成されていて年齢的に変えるのは難しい。彼を好きになる事は無理だろうから、私を利用した仕返しに翻弄して利用して捨てる事にする。

「たった一人の妃?」
私が不思議そうに尋ねると、フレデリックは得意げに頷いた。

その時、トントンと馬車の扉を叩かれる。窓の外には信じ難い人物がいた。
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