贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

20.貴方の企みはバレバレよ

そっと窓を開けて、フレデリックとランスロットの会話を盗み聞きする。ランスロットが小声でフレデリックに耳打ちしているせいか、単語くらいしか聞き取れない。

───国境封鎖？　ウィッグ？

国境封鎖は私たちをアベラルド王国から出さない為。ウィッグはこの非常時に誰かのハゲ隠しをするとは思えない。おそらく変装目的に使うものだろう。

窓を少し開けている事がバレて、フレデリックとランスロットは会話を止めて私を見る。
ランスロットの真意が分からず、彼を睨みつけると目を逸らされた。

どれだけの条件を出されれば、ランスロットは自分を父のように慕ってくれるオスカーを裏切る事ができるのだろう。
アベラルド王国に最も忠誠を誓っている騎士の裏切りなんて信じられない。彼が裏切っているとしたら、彼を慕っている部下も裏切っている可能性がある。

（裏切っているフリをしている二重スパイなら良いんだけど⋯⋯今、アベラルド王宮にいる人たちは大丈夫なの？）
脳裏に地下牢で傷だらけで現れたレナルドの姿が蘇る。
レナルドに何かあったら、私は感情に振り回されて王宮を離れた自分を許せない。