贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「ランスロット・オベール⋯⋯あいつはバロン帝国側だ」
後ろからの声に振り向くと、ユリシスが起き上がっていた。苦悶の表情をして首を振る彼を再び横たわらせる。

「ユリシス、フレデリックが戻ってくるから寝たふりを続けて」
窓の外に視線を戻すと、既にフレデリックの姿がない。ランスロットは私を見ると、馬鹿にしたように鼻で笑った。

(こいつ!!)

悪びれもせずに主君を裏切り、バロン帝国で高待遇でも約束されているのだろうか。
大切な人を人質に捕られ、無理矢理言うことを聞かせられている可能性も捨てきれないが私には関係のない事。
「騎士の忠誠」とはそんな軽いものではない。
忠誠心のない騎士など、剣が上手な蛮族と変わらないと私は看做す。そして、どうやらランスロットも私の事は男が持ち歩く宝飾品の一部程度にしか考えてないようだ。

軽視していた者に足元を掬われる私が味わった絶望を、彼にはいずれ味合わせてあげる必要がある。

ふわっと後ろから抱きしめられる。芳香なブセア調の香り、私の報復の第一ターゲットの登場だ。

「シェリル、何も心配する事はない。僕に任せておけば全部上手くいく」
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