贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
彼も革命により有力貴族として断罪された。私たちの贅沢とやらが、国民を怒らせたらしい。その怒りの矛先は現政権の王家や貴族の親類縁者までに向かい、罪もない九歳の弟まで拘束された。そのような残酷な事が罷り通るくらいの憎悪が、国民の間に膨れ上がっていたとは思わなかった。

無知であった事は責任ある立場にあった私にとって最大の罪だ。

「シェリル、大丈夫か? オスカー王太子殿下と何かあったのか?」
心配そうに声を掛けてくる父に、私は口角を上げ笑顔を作り顔を上げた。

「私とオスカーの心配ですか? 私たちは何度生まれ変わっても愛し合うくらい硬い絆で結ばれてますわ」

「なら、良いんだ。お前が泣くなんて赤ちゃんの時以来で、てっきりオスカー王太子殿下と喧嘩でもしたのかと思ったよ」

私は自分の頬に触れてみた。ひんやりと冷たい頬に流れる熱い湿った感触。
(私、生きてる! お父様も生きてる!)

「お父様、今日は何日ですか?」

「王国歴730年10月1日だ。来月はオスカー王子殿下の誕生日だな。いくら仲がよくても、自分をプレゼントしたりしたらいけないぞ。貴族令嬢たるもの、そういった事は結婚してからだ」

< 14 / 158 >

この作品をシェア

pagetop