贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「跡形もなく消えてなくなりたいです。それで、皆が幸せになるのなら」

私の言葉にユリウスは苦笑いを浮かべた。
私はそのまま処刑された。

♢♢♢

夢なのか分からない不思議な状況。
腰までの銀髪が重く感じる。

「シェリル? なんで泣いて⋯⋯」

戸惑ったような顔をしているのは私の父ディオン・ヘッドリー。
月の光を閉じ込めたような銀髪にはヘッドリー侯爵家の特徴で私に受け継がれている。

見渡すとそこはアルベルト王室の庭園。花の世話をする人間もいないのか枯れた花がそのままになっていた。秋風が冷たくて身震いする。まるで、私の魂が未練がましく過去を彷徨っているようだ。

「泣いてなんていませんわ。私に泣く資格なんてありません」

私は思わず自分の泣き顔を隠すように、父の胸に抱き付いた。
驚いたように少しピクッとした彼はされるがままになっている。

< 13 / 158 >

この作品をシェア

pagetop