贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「レナルド、貴方が間違った事は今まで一つもないわ。貴方はいつだってとても良い子よ」

まだ柔らかい子供の髪に手を触れる。艶やかなこの髪も最後に会った時には心労で抜け落ちていた。
(たった、九歳の子がどれだけの目にあったのか⋯⋯今度こそ守ってみせるわ)

三日後、私の髪がオークションに出されたと聞いたのかオスカーがヘッドリー侯爵邸を尋ねて来た。季節外れの花々の咲き誇る温室に通されたオスカーは私を見るなり顔を顰めた。

「その髪⋯⋯」
彼は私の短くなった髪に手を触れると、急に両手で頭を抱え込んでくる。突然、彼の薄い唇を押し付けられ、思わず押し返してしまった。
今、私はキスとかしているような心境ではない。とにかく、破滅を回避する為に必死にならなければならない。
断罪まであと、三年しか無いのだ。

「シェリル? 一体どうしてしまったんだ。僕への気持ちがなくなってしまったのか?」

「馬鹿にしないで欲しいわ」
驚くような無礼な声が自分から漏れる。
私の反応に心なしか彼は驚いているようだった。

「えっ?」
「オスカー、私の貴方への気持ちはそんな簡単に消えるものではないわ」
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