贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

4.帝国の皇太子、フレデリック

ヘッドリー領地は首都から馬車で二週間程掛かる。

つまり、オスカーの誕生日に首都に戻るに現地に滞在できるのは二日程度しかできない。
それでも、私は平民の生活を知る必要があった。

たった二日でも、アベラルド王国で一番の要所と言われる我が領地を視察しておく必要がある。
私の両親でさえ数える程しか足を踏み入れていない場所で、私は一度も行った事がない。
領地の管理は完全に人任せでほったらかしになっていた。

両親と愛するオスカーの反対を押し切って単身領地に赴いたのは、私たちが生きる道筋を少しでも見出したかったからだ。
ドレスを脱ぎ捨て、白いシャツにパンツルックといった平民のような服を着る。
髪を切ったせいか贅沢な雰囲気を削る事ができた。平民の中に入っていき、彼らの生活を知る必要がある。

「シェリル様、到着しました」
「ありがとう」

御者にエスコートされて降り立ったのは目を背けたくなるような見窄らしい街だった。
(ここがアベラルド王国で一番豊かな場所?)

『贅沢悪女、死ねー』
頭の中に死の直前に受けた民衆の怒りの声がこだまする。


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