贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
私を見るなり扉の前で冷や汗を垂らしている護衛騎士が申し訳なさそうな顔をした。

「オスカーはまだ来ないのかしら?」

護衛騎士などに聞いても意味もない事を聞いていると、自分でも自覚がある。しかし灰色の髪に藍色の瞳をしたその騎士は言いづらそうに口を開いた。

「オスカー王太子殿下のお子がお生まれになったのです」
「⋯⋯はぁ?」

私は今、夢の世界にいるのだろうか。
何の冗談だろう。私とオスカーの間の子が生まれた事はない。オスカーの子が生まれるなど、まるで彼が他の女と浮気したような話ではないか。

「オスカーと誰の子?」

震える声が自然と漏れる。処刑される直前まで私に愛を伝え続けた彼が裏切る事などあるのだろうか。回帰してから、愛するオスカーと生き延びる事だけを考え国に尽くしてきた。

「情婦の⋯⋯いえ、カロリーヌ・ダミエ男爵令嬢との子であります!」

突然出てきた名前は私の知らない女の名前。

頭の中は疑問と不安と怒りで埋め尽くされる。
オスカーが他の女を抱いたというショックで頭が爆発しそうだ。
これは夢なのだろうか、私は崩れ落ち落ちそうな体を抱きしめながら寝室に戻る。

< 3 / 158 >

この作品をシェア

pagetop