贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

6.契約の贈り物

「窓から差し込む光でエメラルドに見えますが、夜はルビー色に光ります。これは、アレキサンドライトです。下心なく私はシェリル嬢と仲良くしたいと思っています。困った時はこのアンクレットを身につけてくれれば、必ず助けに行きます」

「ありがとうございます。嬉しいです」
彼の瞳の色はエメラルド、私の瞳はルビー。突然出てきたプレゼントだが、咄嗟ながらも契約を結んだ私たちに相応しい贈り物だ。

「受け取ってくれないかと思ってました」
フレデリックの言いたい事は理解できた。貴族令嬢である私がなんのジュエリーもつけず、パンツ姿で領地巡りをしている。我が国の窮状を考えると、贅沢を意識して排除しているのは明白だ。

「オスカー王子以外の贈り物ですよ。宜しいのですか?」

彼の問いかけに私は肩をすくめた。回帰前の私ならば、他の男からの贈り物など絶対に突き返す。でも、今はバロン帝国と友好関係を結ぶ必要がある。

「友情の証という事ですよね。私もフレデリック皇太子殿下が困った時は教えてください。イーブンな関係を作りたいのです」

大帝国の皇太子に対して、小国の侯爵令嬢が図々しいとは分かっていた。
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