贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「オスカー! 会いたかったわ」

久しぶりのオスカーだ。珍しく赤い礼服を着ている。父が持ってきたドレスは淡い色ばかりだろう。オスカーが私にプレゼントしてくれるドレスは春の花の色のようなものが多かった。

確かにパートナーを合わせるという意味で、このドレスを着た方が良さそうだ。近くで見なければ、エメラルドとグリーンダイヤモンドの区別などつかないだろう。

「フレデリック・バロン皇太子殿下、遠路はるばる僕の婚約者を送って頂きありがとうございます」
「オスカー王太子、隣国なのに会うのは初めてですね。シェリルとは楽しい時を過ごさせて頂きました。お礼を言うのはこちらの方です」

二人が握手を交わしている。これからバロン帝国とアベラルド王国は国交を結ぶ。フレデリックはこれからセレスタン国王陛下と会談だ。彼は対等な貿易条約を結ぶことだけでなく、向こう三年軍事力の弱いアベラルド王国の為にバロン帝国の騎士を派遣してくれる事を約束してくれた。武力で民とぶつかることは避けたいが、私にとって屈強な帝国の騎士が常駐してくれる事はお守りのようなものになる。

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